米大手資産運用会社ヴァンエックは22日、12月の「Bitcoin ChainCheck」を公開した。同社は、ビットコイン
BTC市場の短期的な指標は軟調である一方で、企業による大規模な買い増しやマイナーの苦境を「逆張り材料」と指摘している。
ヴァンエックは、独自の分析フレームワーク「GEO(グローバル流動性、エコシステム・レバレッジ、オンチェーン活動)」を用いて市場を評価。過去30日でビットコイン価格が約9%下落し、30日間のボラティリティは45を超え、投機の熱量が落ちた局面だと指摘した。
ビットコインの永久先物では、ベーシス(現物価格と先物価格の差)が年率5%まで低下しており、この上乗せ幅の縮小を投機的な需要の鈍化として説明している。オンチェーン活動も全体的に弱く、ハッシュレートは前月比1%減、ドル建ての日次手数料は14%減、新規アドレス数も1%減となった。
一方で、企業側の買いが目立つと指摘している。デジタル資産トレジャリー(DAT)企業は11月中旬から12月中旬にかけて4.2万BTC(前月比4%増)を買い増し、合計保有量は109万BTCに達した。これは2025年7月以来最大の買い増しペースで、中でも米ビットコイン投資企業のストラテジーが同期間に29,400 BTCを積み増している。
対照的に、ビットコインETPの投資家は保有量を減らし、前月比1.2%減の130.8万BTCへ低下した。ヴァンエックは、この「企業による押し目買い」と「ETP投資家の撤退」の対比を重要視している。
また、mNAV(時価総額/純資産)が1倍を割り込む企業が増えていることから、今後は普通株ではなく優先株で資金を調達し、ビットコイン購入に回す動きが広がるとの見通しも示した。
マイナー関連では、ネットワークのハッシュレート(30日移動平均)が直近30日間で4%低下し、2024年4月以来の大きな下げとなっている。マイニング機器で利益を出すために必要な電力単価も、2024年12月の0.12ドルから2025年12月中旬には0.077ドルへ低下し、収益性の悪化が顕著だ。
ヴァンエックは、このハッシュレート低下を「逆張りのシグナル」として評価している。2014年以降のデータでは、ハッシュレートが縮小した局面の方が90日先のリターンがプラスになりやすい(65%対54%)ことが示されており、マイナーの苦境が歴史的に底値を示すサインになってきたと指摘した。
ヴァンエックは、短期的な指標の弱さがある一方で、企業の大規模な買い増しとマイナー苦境という2つの逆張り材料から、市場には「慎重な楽観」が残ると結論付けた。逆張り指標が示す底値の兆候が現実のものとなるか、年明け以降の市場の動きに注目したい。
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