英国で、暗号資産(仮想通貨)を巡る規制強化の動きが、政治資金と金融規制の両面で進んでいる。英与党・労働党(Labour)の有力議員らが暗号資産による政治献金の全面禁止を政府に求める一方、英国の金融行為監督機構(Financial Conduct Authority:FCA)は1月8日、新たな暗号資産規制制度における正式な参入ルートの運用方針を公表した。
「ガーディアン紙(The Guardian)」の1月11日の報道によると、下院の主要委員会委員長を務める労働党の議員7人は、政府に対し、今後提出予定の選挙関連法案に暗号資産献金の全面禁止を盛り込むよう要請したしたという。議員らは、暗号資産が外国勢力による政治介入や資金洗浄に利用されるリスクを指摘している。
声明では、政治資金には「透明性、追跡可能性、執行可能性」が不可欠だとしたうえで、暗号資産による献金は資金の真の出所を不明瞭にし、少額献金の大量分割による規制回避を可能にするとしている。選挙委員会も、現行技術ではこうしたリスクへの対応が極めて困難だと警告しているという。
英政府内でも、暗号資産献金が選挙制度の公正性を損なうとの問題意識は共有されている。ただし、暗号資産の技術的な複雑さから、近く公表予定の選挙法案に禁止規定を盛り込むのは難しいとの見方も出ている。
この動きは、2026年に入り暗号資産による献金を受け入れた英改革党(Reform UK)にとって打撃となる可能性があるとのこと。同党は、暗号資産献金専用のポータルを設け、強化された審査を行っていると説明しているという。
こうした政治資金を巡る議論の一方で、FCAは1月8日、暗号資産関連事業者が新たな規制対象業務を行うためのゲートウェイの仕組みを公表した。新制度の開始後、暗号資産関連の規制業務を行う事業者は、金融サービス・市場法(FSMA)に基づくFCAの認可を取得する必要がある。
特に、マネーロンダリング規則(MLRs)に基づいて登録されている暗号資産事業者については、自動的に新制度へ移行することは認められず、FSMAに基づく新たな認可を取得しなければならない点が明確化された。また、すでにFSMA下で他の業務認可を受けている事業者も、暗号資産業務を行うためには既存の認可内容を変更する必要がある。
さらに、これまで他のFCA認可事業者を通じて金融プロモーションを行ってきた暗号資産事業者についても、今後はこの方法が認められず、英国の顧客向けにマーケティングを行うには自社でのFCA認可取得が義務付けられることになる。
発表によると、新制度開始に先立ち、最低28日間の申請期間が設けられ、申請期間は2026年9月に開始される見込みだ。申請期間中に認可や認可変更を申請した事業者については、制度開始までに審査結果が出ない場合でも、一定条件下で既存サービスを継続できる特例規定が適用されるとのことだ。
しかし、申請期間内に申請しなかった事業者は、制度開始後、自動的に移行措置に入り、新たな暗号資産規制業務を行うことはできなくなるという。
FCAは今後、暗号資産事業者向けの説明会を開催するとともに、任意・無料の事前相談制度を通じて、事業モデルや認可プロセスに関する説明の機会を提供するとしている。
参考:ガーディアン紙・FCA
画像:Reuters


